川上恵(沙羅けい)の芸術村
 話のポケット
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              中途半端やなあ



   女性たちが集まると、20代に戻りたいだとか、いやいや30代にという話題になることがある。
   黙っている私に「貴女は?」と聞かれる。
   「うーん」私は返事に困る。
   正直に話すとその場の雰囲気を壊しそうで、結局「うーん」で終わってしまう。

   いまだかつて、何歳の頃に戻りたいと思ったことは1度もない。
   かといって、今が最高に幸せというのでもない。
   柔な心身だし、引きこもりだし、お洒落にも関心が無くなったし……。現に今も体調不良だ。
   私の中ではそれなりに華やいだ30代40代、そして50代。
   それでも、その頃に戻りたいと思わない。
   なぜだろう? 私の素っ気なさだろうか。

   70代は中途半端な年齢だと思う。
   他人から見れば立派な年寄りなのに、困ったことに自覚がない。
   まだ何かに挑戦できる気でいる。
   だが若い頃のようにすぐに腰が上がらない。腰が上がらないまま、何かを模索している。
   精神と肉体のギャップ、たぶんこれが70代だろう。
   80歳になれば、オバアサンの自覚が出るのだろうか。
   80歳の私を想像すると、それはそれで楽しみだ。
   そうだ! 80歳からはオバアサン修行をしよう。立派なオバアサンになるために。
   でも、立派なオバアサンって、どんなだ?

   先日友人に「70歳って中途半端な歳やと思わへん」と言ったら、
   「欲どしいわ。中途半端な歳って、世間では39歳を言うらしいよ」
   と一笑に付された。
   さあ、オバアサン修行をするまでのこの10年を、どう面白がろうか。
   ほんまに中途半端な歳やわあ。
   

                        
                       2018.10.3