川上恵(沙羅けい)の芸術村
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                      チョコレート


     バレンタインである。
     それにしても配る(えっ配るって?そんな味気のない)チョコレートの数、
     ずいぶん減ったなあ。
     あの人にはこのチョコ、この人にはそのチョコと、昔は選ぶ楽しさがあったのに、
     彼らはさっさと遠くの世界へ行ってしまった。
   
     今や息子と夫と弟と、2、3人だけという寂しさである。
     それもカタログでの申し込みという手抜きだ。
     夫などは箱入りでなく大袋に詰まった〇〇チョコだ。
     「ありがとう」と、それでも夫は嬉しそうだ。もちろん私も食べる。

     流石にお嫁チャンからもらったチョコレートはお洒落だ。
     シックな手提げの紙袋に、紺色のリボンのかかった箱が入っている。
     さっそく箱を開け、これとこれとこれは私が食べたいと、宣言する。
     医者から糖質を制限されているにも関わらず、夫のチョコをわが物のように欲張っている。
     世間では、
     夫が貰った義理チョコのほとんどは、妻が食べているに違いないと私は思っている。



 2023.2.14