川上恵(沙羅けい)の芸術村 | ||||||
エッセー | 旅 | たわごと | 雑感 | 出版紹介 | ||
貧乏性 気分が沈んだらお香を焚く。 最も7pほどの線香型で、価額も20本で1000円くらいの、お手軽なものである。 そんな話をしていたら、数日後、友人からお香が届いた。 それも小さな桐箱入り、二箱である。 箱の蓋に、麝香・沈香〇〇〇 と香名が書かれている。 もう一箱は、シャム沈香〇〇 「えっ、麝香に沈香!」 箱からなんとも深い香りが漂ってくる。 そっと蓋を開けると、奥深く芳醇な香りが部屋中に広がった。 心を鎮めてくれる香りだ。 説明書には、 お香の原料となる香木類、漢薬や竜脳を使わず、沈香だけで調合し、麝香を効かせてあると 記されている。 さぞ高価なお香だろう。なんたって桐箱入りだもの。 でも、 安価なお香だからこそ、惜しげもなく焚いていたのに……。 こんな高価なお香、毎日、灰にするのは勿体ないなあ……。 ああでもないこうでもないと香を触っていたら、指先に香りが沁みついた。 大胆なくせに、小さなことには貧乏性になってしまう自分に呆れている。
|