川上恵(沙羅けい)の芸術村
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                   あも歌留多



    「あも歌留多」なる雅なお菓子をいただいた。
    叶匠寿庵の季節限定の和菓子であるらしい。
 
    生まれ育った河内地方ではお餅のことを「あも」と言った。
    なんとも野暮ったい名称だと思っていたら、
    由来は宮仕えの上級女官の用いる女房言葉だとか、餡餅の略だとか……。
    河内の「あも」が、急に上品な食べ物に思えて来た。

    叶匠寿庵は滋賀県大津市に本社を構えている。
    「あも歌留多」は、かるた の聖地、近江神宮にちなんでの菓子で、百人一首をモチーフに
    作られている。
    その美しいこと精緻な事。
    最中種に描かれた色彩豊かな絵と和歌には、思わず感嘆の声が出る。
    この最中種で「あも」を挟んで頂くのだ。
    最中種はサクサクとしていて、間違っても上あごにくっつくことはない。

    しばらく眺めたあと、
    伊勢大輔さん、ごめんなさい。頂きます。
    私は情け容赦なく伊勢大輔の十二単に歯をたてた。
  
         いにしへの奈良の都の八重桜 けふ九重に匂いぬるかな

    

  
              2023.1.31.