川上恵(沙羅けい)の芸術村
 話のポケット
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               呆れてしまう



    欲どうしくも健康になりたいと、そのためには体力をつけようと、かるーく腕の運動をして
    内出血をしたその後である。
    当初赤紫の内出血は、日本列島のように細長く上腕に伸びていた。
    袖をまくっては、
    「くりからもんもんの御姐さんだ」と、家人に見せて面白がっていたが、やがて、
    日本列島はアフリカ大陸になりと、どんどん気味悪く勢力を広げていく。

    腕は腫れあがり、そのうち右腕が全く上がらなくなった。痛くてたまらない。
    8月15日。世間はお盆の真っ只中だ。行きつけの整形外科は休診だ。
    そのうえ台風も来ているようだ。
    「どうして、こんな時に……」、不運を呪っても仕方がない。

    幸いにも市民病院が診療を行っていた。内科と外科の診察券はある。
    先生は腕を診るなり、骨折をしていなければいいんだけれど、と言いながら、それにしても
    と、彫りそこないの入れ墨のような模様をしげしげと眺めた。
    
    レントゲンの結果、骨折は大丈夫だったが、筋を相当痛めているそうだ。
    自由に、右腕を動かせるには時間がかかるだろう。
    
    私は、私の体の情けなさ、頼りなさに、心細さに、呆れかえっている。
    自分の体なのにお手上げである。
    きっと体中の血管がボロボロになっているんだろうな。と思っていると、

    『100歳まで、切れない詰らない、タフな血管をつくる!』 
    という本が目に留まった。吸い寄せられるように手に取ってみる。
    足首マッサージや血管マッサージの仕方が図で説明されている。

    「あかん、あかん。もう柄にもないことはしたらあかん。懲りたやろ。
    こんどは足首にタトゥーを入れるつもり?」


                      2019.8.21