川上恵(沙羅けい)の芸術村
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                    赤口



    コロナワクチンの接種を、掛かりつけ医で受けた。

    運が悪いというか、前日に皮膚にアレルギーが出た。
    ワクチン接種をためらわせる気持ちがそうさせるのか、掻きも触りもしていないのに、
    足のすね辺りに赤い染みのようなものが広がった。それも数カ所。
    たぶんストッキングで摺れたのだろう。それにしても摺れたぐらいでこんなに真っ赤になる
    とはなんと軟弱は肌なんだろうと、情けながっていたら、痒みは足全体に広がり、
    さながらカチカチ山の狸になった。痒みは辛い。

    ワクチン当日になっても脛の辺りの赤いものは消えなかった。
    この分だとワクチンは駄目だな、今日は仏滅かとカレンダーに目をやった。
    「赤口」。赤は血の色を連想させ大凶の日である。ところが11時から1時までの間は吉だ。
    予約時間は12時。吉の時間帯だ。
    少し気をよくして、医院に向かった。

    医者は私の足を見た後、「大丈夫でしょう、打ちましょう」と。
    注射は痛くもなんともなかった。15分の経過観察を済ませ医院を後にした。

    翌日の6月8日、副反応はひどくない。腕を触れば少し痛いかなという程度だ。
    心配していた熱や腕の腫れもない。
    杞憂という言葉が浮かんだ。
    中国古代のこと、杞の国の人が天が落ちてこないかと憂えた話だ。
    取り越し苦労はするものではないな。ストレスをためるだけだ。徒労。
    今回のワクチンで私は学習をした。
    

          2021.6.8