川上恵(沙羅けい)の芸術村
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                    赤い実


    南天に千両、万両。
    花の少ない冬の庭に、赤い小さな実はくっきりと可憐である。
    表の玄関わきに植えたはずのない千両が、赤い実をつけて楚々とした風情である。
    私はしゃがみこんで、千両に話しかける。
    「可愛いね。まるでルビーかサンゴみたいやね」
    小鳥からの贈り物だ。そう言えば万両も小鳥からのプレゼントだった。


    裏庭から隣家の見事な南天が見える。
    私は毎朝カーテンを開くたび、その南天に見入っている。
    野生化したような南天は、枝が折れそうなほど実をつけ、朝の光を浴びている。
    風が吹こうものなら枝は、ゆっさ、ゆっさと、揺れる。
    重くて折れそうな枝は、何本もある。
    照葉と言う言葉は聞いたことがあるが、赤い実は太陽の光にピカピカと照り映えている。
    私は密かに思っている。
    もし、あの枝が折れたら、お願いをして頂きたいなあ……。
    大きな瓶にたわわな実の南天を無造作に入れたいなあ……。

    そんなことを思っていたら裏の人が悩ましそうに言った。
    実が落ちて、下のコンクリートに点々と血のような赤い染みをつけて、掃除が大変なのよ。
    

2025.12.17