川上恵(沙羅けい)の芸術村
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                 3、40年に1度の


   観音竹の濃い緑の葉の間に、ちらりと桃色のものが見えた。
   なんだろうと近づいてみる。
   「えっ、何これ? 花? 花が咲いてるの? 観音竹って花が咲くの?」
   珊瑚のような花だ。
   初めて見る光景に、慌ててスマホで調べてみる。
   なんと3、40年に1度しか咲かない、貴重な花なのだとか。
   そういえば育て始めて40年近くになる。
   ちなみに、
   竹の花は枯れる前兆で不吉だと言われるが、観音竹はヤシ科なのでその心配はなく、
   「吉兆の花」とされているそうだ。
   
   「わあ、どんないい事がおこるのだろう。楽しみだなあ」
   胸を弾ませ、さらにググってみる。
   名前の由来は、沖縄の首里観音堂に400年前から生えていることから、観音竹という名称が
   つき、現在も観音堂境内に植わっているそうだ。
   尖った葉は邪気を祓い、財を呼び、と縁起の良い植物で、空気を浄化する作用もあるらしい。
   別名を、リュウキュウシュロチクと言う。
   なんと花言葉は、
   「日々の平安」と「スマートな淑女」。
   
   なんとも珍しく素敵な出会いである。
   人間も植物も出会うべき時に出会うのだなあ……。元気づけてくれているのだなあ……。
   


              2023.5.30