川上恵(沙羅けい)の芸術村
 話のポケット
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                 過ぎたるは……


   過ぎたるはなお及ばざるが如し、とは、よく言ったものだ。
  
   最近、テレビやラジオでの天気予報が気になって仕方がない。

   「寒さが厳しいので、今日はコートが必要でしょう」
   「今日は、マフラーをお持ちになった方がいいでしょう」
   昨日などは、
   「雨で衣服が濡れると、体が冷えますので、傘の用意をお忘れなく」
   そのコメントに、そこまで日本人はアホやないよと笑ってしまった。
   子供向けの幼児番組かと、錯覚しそうだ。

   それらは天気予報のお姉さんやお兄さんが教えることではなく、母親や父親、あるいは祖父母が
   教えることではあるまいか。あるいは自分で考え、判断することではあるまいか。
   何のために五感を含めた感覚があるのだ。
   ちょっと寒ければ、一枚重ね着する。暑ければ脱ぐ。それらを自分で考えなくてどうするのだ。
   それとも日本人の感覚は、それらすら教えてもらわなければならないほど、
   劣化しているのだろうか。
   精神が幼稚化しているのだろうか。

   親切すぎや甘やかしは、人を駄目にする。

   言うまでもなく、親切はいいことだ。
   しかし本当の親切とは何だろう……。
   親切と甘やかしの境界線はどこにあるのだろう?

   何事によらず過ぎたる親切は、人が本来持っている能力を駄目にする気がする。